LINEで気軽に安否確認してくれるNPO法人エンリッチの「見守りサービス」

体調の優れないときや気分の落ち込んでいるとき、就眠のために布団に入って「ああ、このまま息絶えるかも知れんなぁ」と思うことはないだろうか。

私は、ある。

特に心配性ということではないのだが、40歳を過ぎた頃からよくそう思うようになった。

それがこの新型コロナ禍で、なおさらである。

ちょっと夜中に咳が出たり、頭痛がするだけで「コロナ、ヤバいかも……」と思ってしまう。

シニアともなれば大病や手術を経験した人や、高血圧や高脂血症、糖尿病などいわゆる成人病を抱えている人も少なくない。

同じように不安を抱えている人は今、多いのではないか。


その不安に手を差し伸べてくれるのが「LINEを使った見守りサービス」(NPO法人エンリッチ)だ。

使い方は簡単。

スマホでNPO法人エンリッチのサイト内から、LINEの友だち登録する。

安否確認の頻度は毎日、2日に1回、3日に1回のいずれかを選び、時間は24時間いつでも設定できる。

すると設定した間隔と時間に安否確認が送信されるので、「OK」をタップするだけ。

「OK」のタップが無い場合は、翌日に再度安否確認が送信される。

再送後3時間以内に確認が取れない場合は、登録した利用者本人に直接電話で連絡が来る。

それでも安否確認が取れない場合には、登録した近親者や友人などの連絡先に知らせが来る。

これだけのサービスが何と!無料で利用できる。


「LINEを使った見守りサービス」を運営するのは、NPO法人エンリッチ代表の紺野功さん。

2015年に一人暮らしをしていたプログラマーの弟が仕事場にしていた自宅で孤独死して、変わり果てた姿で発見されたことにショックを受けたことが、このシステムを開発するきっかけとなった。

弟はまだ52歳だった。

セルフ・ネグレストで亡くなった弟の死因は低体温症だったという。

亡くなる前に電話で話したときには、特別異変は感じなかった。

もう少し発見が早ければ、命を救えたかも知れない……。

その思いに突き動かされて、単身者が気軽に安否確認するにはどうしたらいいかと試行錯誤し、現在の形にたどり着いた。

利用者は19歳から90歳代まで、利用者はやはり女性が多い。

どうも男性は「自分は大丈夫」という根拠のない自信をお持ちの方が多いようだ。

そうした男性には、ジャーナリストの伊藤詩織さんが「孤独死」をテーマに初監督したドキュメント作品『LONELY DEATHS』を見せることもあるという。

実際の映像を見て、初めて孤独死のリアルな実態を知り、「このままではいけない」と登録する男性も多いとのこと。

離れて暮らす親子がそれぞれ登録するケースも増えている。


まずは登録から始めてみてはいかがだろうか。

詳細はNPO法人エンリッチのホームページをご参照ください。

text by 鏑木朋音

朋の会 TOMOTOMO CLUB

仕事や家事、子育てや介護などを無我夢中でこなし、気が付けばいつの間にかシニアの仲間入り。 「これからわたしはどうなるのだろう?」と考えている女性は少なくないことと思います。 雑誌やテレビ、ネットなどでは終活の記事を見ない日はありません。 わたしたちは「もっと自分に合った終活があるのでは?」と考えます。 そしてみなさまとの関わりを得て、その答えをひとつひとつ探していきたいと思っています。